愛の言葉 scene 1
□ケータイ
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あなたといつでも繋がってたくて、
肌身離さず持ってる。
用もないのにこっちから掛けるのは、
嫌がられそうで、
今日も
あなたからのチャクシンを待ってる。
でも、
電話嫌いのあなたは、掛けてきてくれない。
意気地の無い自分に落ち込んで、
デンゲンをOFF───。
そんなあなたにちょっとフクレて、
デンゲンをOFF───。
時刻表示の無くなったケータイをにらみつけて………
すぐに、
なんだか今にもあなたからのチャクシンがありそうで、
3分と経たずにデンゲンをON───。
真っ先にルスデンを再生してみる───。
『現在ご伝言はお預かりしておりません』
今日何度目かの声の後、
ふと、
馴染みになったこの声も、
何度も同じことを繰り返している私を
いつか笑うのではないかと思ってしまう。