コラボSS
□未熟な天才たち(シャロンside
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「・・・コホン。わたくし、明日この家を発ちますから」
「明日ですか!?旦那様の帰りを待たずにお発ちするおつもりですか?」
「ええ。父が帰ったら、わたくしはアカデミーへ発ったと伝えておいて」
「ですが・・・」
「わたくしは、一日でも早くアカデミーへ行きたいの」
そして、賢者になりたいの。
言外にそう告げるシャロンの、ひたむきな眼差しに、とうとうじいが折れた。
「解りました。旦那様にはそう伝えておきます」
「ええ、お願いね」
シャロンは自分の部屋に戻って、独り呟いた。
「やっとだわ。やっと彼女と再会できる」
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シャロンはろくに自分の住んでいる街から、いや、屋敷から外へ出たことが無かった。
だから、必然的に人付き合いというもの自体を殆どと言っていいほどしたことが無い。
不在の多い父に育てられ、執事とぐらいしかろくに会話もしたことが無い。
そんな彼女にも、唯一「友人」と呼べる人がいた。
「友人」なんていうのは彼女自身の勝手な思い込みかもしれない。
でも、それでも良かった。
まだ小さな頃に大事なペットの命を助けてもらった。
きっかけはそれだけ。その時すら殆ど会話は無かった。
でもはっきり覚えている。
彼女の「ありがとう」という言葉に対し、返してくれた言葉。
「友達が困っているんだもの。助けてあげるのが当然だよ。」
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