随筆紺碧
□紫の記憶
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あら…貴方は…。今日は何の用?
そう…わたしの過去が知りたいの?…変わってるわね。
…まあいいわ。今日は気分が良いから、特別に話してあげる。
わたしの…覚めない夢を…ね。
眼をつぶるだけでいつでも思い出せる。
両親の顔よ。
二人とも高名な魔術師だったわ。
いえ、死んだ訳じゃないの。もう動かないだけ。
爆発事故。
わたしが幼い頃、2人はそれに巻き込まれた。
いっそのこと死んでいてくれれば、まだわたしも救われたかもしれないわね。
生きているとも、死んでいるとも言えない、まるで生ける屍。
そう、俗に言う「植物人間」ね。
そんな訳で、わたしは祖母と暮らす事になったわ……。