コラボSS
□未熟な天才たち(ラスクside
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未熟な天才達 ラスクSide
空から真っ白な雪が止め処なく降り続く。
「今日も寒いなぁ・・・」
自宅の玄関先で緑髪の少年は呟いた。名をラスクという。
彼の手に握られた一通の封筒。中身は期待通りのものだった。
─―次の日の朝。
「じゃ母さん、ボク、いってくるね」
大きな荷物を背負ってラスクは玄関に立っていた。
「本当に一人で大丈夫かい?私は心配だよ・・・」
「うん、大丈夫。向こうへ着いたら手紙を書くよ」
「そうかい・・・。じゃぁ頑張ってお行き」
母の心配そうな顔。
ラスクは出来る限り、母に不安を抱かせないよう振舞おうと言葉を選んだ。
「・・・そんなに悲しそうな顔しないでよぉ。一生会えない訳じゃないんだからぁ」
「でも・・・」
未だ心配そうに見つめる母に、ラスクは胸を張った。
「大丈夫だって。ボクは天才なんだもん。あっという間に賢者になって、学校なんてすぐに卒業して帰ってくるから」
「・・・そうね。じゃ、行ってらっしゃい」
「うん。いってきま〜す」
手を振りながら遠ざかっていく我が子を見送りながら、内心一人息子の身を案じる。
いくら地元で10年に一人の天才少年と持て囃されても、所詮11歳の少年であることに変わりはない。
それも、世界各地から生徒が集う魔法学校で通用するかなんて判ったものではない。
しかし、我が子の成功を願って家から送り出すというのも親の仕事である。
山奥の片田舎のこの地から、賢者を目指す者達の集まるマジックアカデミーへ。