コラボSS

□未熟な天才たち(邂逅編
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未熟な天才達(邂逅編



 目が覚める。朝日が眩しい。
 何気なく時計を見る。

 ……
 
 ………

 …………



 …………?



「「寝過ごした〜!!!!!」」



 あれ?
 心なしか隣の部屋からも同じ台詞が聞こえたような……。
 しかし、今はそんな事を考えている暇はない!
 ぐずぐずしていると「アカデミー行き」の船が行ってしまう!
 ラスクは急いで身支度を済ませると、荷物を引っ掴んで宿を出る。
 この宿から船着場まで走って5分。現在の時刻は……午前8時5分前。
 出航の時間は……8時!!
 兎に角、走れ、走れ、走れ!!



「ふぅ…」
 どうにか間に合った。息を切らせつつチケットを船員に見せて乗船する。
 ラスクが丁度乗り込んで、甲板に出た頃に船が動き出した。
「良かった……ギリギリセーフ」
 船の手すりにもたれ、ほっと胸を撫で下ろすラスクの耳に、微かな声が聞こえた。
「……なさーい!!」
「ん?」
 甲板から見下ろすと、一人の少女がこちらに走ってくるのが見えた。
「その船、お待ちなさーい!!」
 長い金髪をなびかせながら走る少女が身にまとう服。あれは。
「アカデミーの制服? じゃああの人も…?」
「戻りなさいっ! わたくしも乗るんですのよっ!!」
 しかし非情にも船は発進し、戻るどころか停止する気配すら無い。
「船、停めてもらったほうがいいかなぁ……」
 仮にも同じ学校に通う(であろう)生徒を見捨てるわけにもいかないし。
 甲板にいた水夫にラスクが声をかけようとしたその時、少女が突然立ち止まった。
「あれ?」
 諦めたのか、と思った次の瞬間、少女の体はふわりと宙に舞い、そのまま甲板へと着地したのだった。
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