コラボSS
□未熟な天才たち(シャロンside
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通知が届いた翌日、彼女は住んでいた屋敷を後にした。
まず、目指すは隣町である港町。
そこから船に乗ってアカデミーの最寄の街まで行くのだ。
とりあえず、隣町まではじいが馬車を手配してくれた。
街を出て、未知の世界を走る馬車。
流れ行くどの景色も彼女にとっては新鮮であった。
「ねえ、あの黄色い塊は何?」
身を乗り出すようにして、御者に問いかける。
「ああ、あれは積み藁ですよ」
「積み藁?」
「ええ、ああやって藁を乾燥させているんですよ」
「ああ、そういえば家に飾ってあった絵に、同じものを描いたのがあったわ。」
「実物は初めてですか?間近で見ると意外と大きなものなんですよ。」
「へえ・・・じゃあ、あれは?」
「あれは・・・」
馬車が走り出してからはこんな調子である。
質問攻め。本の中での知識ならば十分にある。
その自信はある。それだけ勉強したという確信がある。
しかし、本と実物は全くの別物。
全てが初めて見るもの。全てが刺激的。
馬車に乗っていた数時間があっという間に過ぎていく。
時間が惜しい。私はこんなにも世の中の事を知らなかったのか。
もっと勉強しなきゃ。もっと知りたい。もっと・・・。