→うた
□音のない森。中
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「あれ?ゲジマユとチョウジは?」
「仕事だってさ、今日は来れないって。」
「そっか、残念だってばよ。」
少なからず気落ちしたら、
そんな事はいいからとやわらデキあがってる酔っぱらいの中へ引っ張り込まれた。
勿論サスケも。
──当たり前のようにサクラちゃんが横に座るのを視界の端で捉え、
俺は苦い思いを抱えながら酒に手を出し始める。
分かってたことなのに
胸が、痛い……
□□□□□□□□
二時間後。
「なーっ☆お前もそう思うよなーvV」
「はいはい、そうだってばね。」
泥酔したキバの相手をしながらチビリチビリと冷酒を煽る。
サスケはサクラちゃんが隣りにいるせいか、
専ら女性陣と宜しくやっているようだ。
まぁ静かに呑んでいることには変わらないけれど。
──やだなぁ…
そんな事にまで嫉妬してるなんて
ずっとアルコールを流し込んでるはずのこの身体は
酒気で熱が上がるどころか呑む度に冷静さを増していく。
元々ザルだけど、こんなにも酔えない日は初めてだった。
(最後の最後に『初体験!全く酔えない症☆』、ねぇ…)
溜息と共に苦笑。
──そんな自分を不振に思ったのか、
真向かいにいたシカマルがワザワザ隣まで移動してきた。
「大丈夫か?」
「何が?」
「何が、じゃねぇよ。」
べしっとデコを叩かれ悲鳴を上げる。
「痛っ!」
「周りの空気に合わせようと焦ってる、違うか?」
確信を付いて落とされた台詞。
あーあ、これだから頭の良い奴は……
苦笑を洩らして肯定すると、ぽんっと頭を撫でられた。
餓鬼扱いされてるみたいでムカつく。
「ちょい外出ようぜ?」
────訂正。
心配掛けてごめんな?
有難う。
騒ぎまくってる皆の目を盗んで、
そっと二人で抜け出した。