→うた

□ハート。
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そして転機は訪れた。



波の国、
中忍選抜予選と本選。


大概をベッド上で気を失っていた気がする大きな出来事。


自分的には情けない事この上無かったのだが、


彼奴にとっては…。






















見舞いに来て、
俺を確認した早々に。


「別に心配とか、そーゆーんじゃないからな?!」


序でだ、序で!!と叫ぶ子供の

今まで無かった反応。



今までは『ざまぁみろ。』の台詞を幾度と無く聞いていた筈。

そんな一寸した変化に
この俺が付け込まないはずは無いだろ?

まるで麻薬のようにそっとそれでも一気に
『彼奴』を攻め立ててゆく…。


それは偶に見せる表情だったり

言葉だったり

行動だったり。



決して演技ではなく、
自然と彼奴にしてやりたいモノ
してやりたい事でもあって、

奴への侵食は自分でも気付かない内に行っていた。




そして最近。

彼奴の心は見事熟した。


(やっとだな…)


どんなに待ちわびた事か…

何時誰かに奪われて仕舞うかとばかりに焦っていたものだ。


俺の声に行動に視線に反応して赤くなる顔。

触れると赤面したまま硬直してしまう所とか可愛すぎて、



俺はまたコイツに溺れる





──侵食していたと見せかけて、


実際は侵食されていたのかもしれない。









アカデミー書庫で二人きり、
あれよあれよと言う間に『侵食』を、

そして『飲み込』んで…。



勢いでヤっちまったが、あんな風に強請られて誘われてしまえば
俺だって理性利かないんだぜ?


唯でさえ俺のことを好きだと意思表示してくれた後だしな、
留め金なんて簡単に外れて仕舞うんだ。



勿論不安は一杯だった。
お前のその気持ちが迷子にならないかとか、

誰かに手を引かれ去っていってしまうんじゃないかとか。


だってお前の事になると極端に弱くなる俺だから…







でも今こうやって俺の腕の中に居るって事はさ、

つまりそう言う事…


なんだろうな。
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