→うた
□渦。
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『好き』だと…
溢れそうな想いに
必死で蓋をしようともがいて…
なのに他の感情とぶつかり合い、
廻りながら消えていくから…
未練だけが、
底に残る、と…。
──そう、真摯に訴えるから…。
拒む意志が
何処かへと流れていってしまうんだ…
お前のその渦を
覗き込むような真似さえしなければ
今みたく引きずりこまれることもなかったろうに…。
嗚呼
お前の事を思う余り
俺にのし掛かる後悔と不安と…哀しみの刹那。
誰かの詩ではないけれど、
人は儚いものに
何故かこんなにも惹かれ続けてしまう…。
嗚呼だから哀しいのだ。
お前のその溢れそうな想いの流れ着く場所が
俺の其れに繋がっていないだろう事が…。
──友としての、親友としての…距離が長すぎた。
お前が好きだ、と…
そんな感情に、この距離が蓋をしていた。
そう、
お前が…
好きなんだ…
───でも…
──気付いたから、何だと言うんだ。
この想いは繋がらないのだと解っているのに…。
行く先を無くした其れが…
たった一つのまぎれもない真実だったとしても。
──気付くのが…
遅過ぎた……。
「ナルト、行かねぇのかよ。」
「──今行く…ンッ…ぁ…ふ」
即したくせに、
塞いできた口唇はまだこの先の行為へと運ぶような熱く深いもの…。
不意にこぼれ落ちる
甘い吐息
合わせた指先から微か届く
甘い鼓動
──酷く泣きそうになる
いっそお前のことを憎めたらいいのに…
揺れて乱れる俺の心に
痛く残る淡い想い。
人は儚いものに
何故かこんなにも惹かれ続けてしまう…
零れた涙は生理的なものだと信じたい。
何も知らなかった、
以前の関係に戻れたなら…。
深い底に響くは
軋んだ
ガラクタの音……。
END...