→うた
□音のない森。前
1ページ/15ページ
月の明かり頼りに
歩き出した
おぼつかぬ足取り
いつの間にか迷い込んだ深い森は
暗く湿ったまま
止まった…
──仕事終えて火影室へ。
特Sランクのハイリスク任務を何とか引き上げてこの里に戻ってきた。
死闘の連続で身体も精神も正にボロボロ、と言ったところだ。
でもまぁ…
こんな無理難題な任務を死者無しで遂行出来たことは何よりだ、
決してお首には出さないけれども。
「ニシシ…
良い部下を持ったってばよ☆」
うん、自慢の部下だ。
──自分にはもったいない程に…。
「零、入ります。」
暗部でのコードネーム。
『無限の可能性を秘めた』ってゆー意味で
綱手のばあちゃんが直々に付けてくれた、零=B
結構気に入ってたりして。
「──任務、ご苦労だった。」
「有難うございます。全ては計画通りに進む模様ですよ。」
「ははっ、お前の敬語はムズガユくて仕方がないよ、ナルト。」
「──コードネーム無意味じゃん、名前呼んだら。」
コロリと変わる口調。
相手は木ノ葉の火影サマで、
片や自分はただの忍。
有り得ない口調と態度に、
しかし互いが互いで微笑みながら談笑を繰り返している。
俺とばあちゃんの関係ってそんなカンジ。
今も昔も変わらない。
「任務も終わったことだし、早く帰路に着きな?
暫く休みを入れ…」
「──折り入ってご相談なんですがね、火影様=H」
俺の言葉にばあちゃんの視線が鋭くなった。
それもその筈。
俺がばあちゃんを『火影様』と呼ぶときは、
必ずって言って良いほど真面目な話の時だから。
微笑みながら、
それでも確実に引き吊りつつある口許を自覚しながら。
一言一言、
ハッキリと言葉に表した。
「──もう、
そんなに時間が残って無いかもしれないってば…」
.