→うた
□貴方ノ声。
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最近の俺ってば絶対おかしい。
絶対絶対おかしい!
だってさ、だってさ!
「何してるんだよ、ドベ。」
─彼奴の声を聴く度に
「はぁ?ふざけんな、ウスラトンカチ。」
──声を思い出す度に
「そうか…よかったな、ナルト。」
こんなにも
胸がきゅうぅ…ッてなる……。
苦しくなって目も潤んじゃうんだってば。
心臓が口から飛び出しそうになるし、
ほっぺたなんて林檎通り越して熟れたトマト色になるし…。
勿論耳や首の方まで。
あの低く透るテノールに、落ち着きとざわつきを覚えたのはやっぱりつい最近の事で…。
畜生、
何なんだってばよ…
──俺って病気なのかなぁ…?
朝。
今日も相変わらず任務で。
昨日の時点で風邪気味だったサクラちゃんは大丈夫かなぁ…?
身支度を整え集合場所へ向かえば、やっぱりそこには彼女の姿は見えず…
「サ、…スケ……ッ」
いつも早々と現れているチームの仲間が一人。
「──何だよ?」
ピクリ…ッ
「え?あ、…な、何でもな…ぃ…」
またきゅう…ってして目が潤んだってば。
サスケからの視線に耐えられず、ふいっと逸らしてその場に座る。
──妙な沈黙がこの場を支配しちゃってる。
やっぱサクラちゃん休みなのかな?
…サスケと二人きりだなんてどうしたらいいのか分かんないってばよ。
──何か喋んなきゃ駄目かな…?
でも今までそんな事しなかったし(いつもはサクラちゃんと話してたから)、
第一、何を話したらいいのか…
「あ…ぁの……さ…」
取り敢えずこの居づらい空間を打破するべく声を出そうとしたんだけど…
其れは確実にサスケへは届かない弱々しい音で…
何でこんなに声が出ないってば?
どうしてこんなに緊張するんだってばよ!!
だってさ、だってさ?
話しかける相手はあの、いつも生意気でスカしているサスケなんだぜ?!
「──お前、大丈夫か…?」
あーだのうーだの唸っていた俺の、目と鼻の先で聞こえた声。
びくん…ッ
一気に朱へと染まる肌。強張り始める身体。
何時の間にこんなに近付かれたってば…?
「あ、な…何……?」
これじゃさっきの会話と変わらないってばよι
「サクラの風邪でも伝染ったのか?…顔が真っ赤だぜ?」