→うた

□渦。
1ページ/2ページ



「───ッ…んぁ」
「もう限界?」
「止、め……

───ッッ!!」



あぁ目の前が真っ白


ねぇ

どうしてこんな風になってしまったの…?







渦。









俺に火影昇格の話が持ち上がった次の日。
誘われるままにサスケの自宅へと連れ込まれて

…──今日一日、彼の我が儘を全て受け止める事になった。


旧知の親友という関係から
生死を委ね下ろす上司と部下の関係に、もうじき成ってしまう前に…。

肩書きは何処へ行けども消えはしないから


その前に『友』としての思い出を二人で作る…






──はずだったのに。









「───ん…。」


目に飛び込んでくるもの。

見慣れない天井
見慣れない家具
見慣れない部屋


──サスケが生活してきた、空間…


汗で張り付く前髪を掻き上げ、途方もなく思考の波へ身体を任せた。


お前が築きたかったのはこんな思い出?
この、ただ一瞬の…
瞬きのような甘い刹那?

友としてではなく、愛を分かち合った者同士としての?


──その関係が

例えその場限りの偽ったものだとしても…?


何時からそんな目で見ていたの?
それとも俺は誰かの代わりなの?


──友だと思っていたのに…



酷く痛む腰が

身体が。


其れをまるで否定するかのように悲鳴を上げた。

「───…痛……」
「起きたか?」


目だけで追えば、ドア縁に形を潜めている彼奴の姿。
いつもの自尊心過剰な喋り方と


──瞳の弱さの反比例。

──後悔、してる…?


馬鹿だね、お前は。
そうなると解っていて、事を成すのだから…。


「風呂、入るか?」
「あ、うん…」
「──洗ってやろうか。」
「バ…ッ!?///
ふざけんなッ!!」


クツクツと喉で笑う仕草はあの頃と変わってないのに…。
今宵一夜、身体を繋げてしまった事で
形が崩れてしまったという事実。



だってお前が告げるから…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ