→ぱられる
□SENIOR・JUNIOR
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「サスケっ!」
笑顔で駆け寄ってくる幼なじみの餓鬼に呼び止められ、
玄関の鍵を開けながらそちらへと振り返る。
「何だよ。」
素っ気ない返事は昔から。
そんな事は承知済みのコイツは気にもせずに満面の笑みで話しかけてくるのだ。
「へへーvVねぇねぇ今日は何して遊ぶ?」
「……そうだな。」
俺が否定する事なんて端から頭にないようで、
そんなナルトに一瞬呆れつつも仕方なし、残りの時間を何して終えようかと思考を巡らせた……。
──そんな日常も
俺が中学に上がった事で簡単に崩れ落ちる。
小学校と中学校。
登校時間も授業量も下校時間も全てに於いて違う。
加えて部活に入ってしまえば確実に朝早く夜は遅い。
結果、
必然的に会うことも会話することも
何もかもが無くなった…
少し前までは両親同士が仲の良いせいか、
隣同士の家に勝手知ったる何とかで上がり込んでいたのに
そんな気配などは微塵もなかった。
あのナルトが、なのだ……
一番の問題はそこだった。
あの馬鹿でおちゃらけ者で目立ちたがりのくせ、
……極度の寂しがり屋な彼奴が。
「『兄』は必要なし、か…」
何か、寂しいな。
巣立ったとも言うべきか、その事実に不思議な感情が渦巻いて
俺は未だに巧く消化出来ないでいる。
「今頃アイツ何してんかな…」
そんな風に思いながら、
それでも月日は流れ…
再び出逢ったのは
俺が中学最後の一年を迎える、
そしてアイツが中学生活を初めて迎える
華の入学式だった。
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