→忍びさん・2

□鬼鮫さんの散々な一日。
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「貴方が帰郷したいだなんて…
珍しい事もあるものですね。」


深い森の中。
木々を飛び移りながら横に並ぶ人物へと語り掛ける。

彼はその揺れる長い黒髪を翻しながら言った。



「……成長過程が気になってな。」







□鬼鮫さんの散々な一日。□









ざざぁ…っ

相変わらず何の変哲もない木の葉隠れの里。
この地は隣でどこかを見据えている彼の
生まれ故郷でもあった。



……というかつい3・4年前くらいに抜けてきたんじゃなかったですっけ貴方ι

……ってどうでもいいんですけど
抜け忍なら抜け忍らしく忍びませんか?!
門の前で仁王立ちって…ねぇ!


「…………いた。」
「は?何が…?
───狽チてもう居ないし!!」


やんわりと置いてきぼりを食らい、益々やるせない想いを胸に渋々追いかける。
見事なまで完璧に気配を消され、探すのなんて不可能に近い訳で。
そりゃもう勘と洞察力の域なんです、何時もの事過ぎて泣きそうですが。





小一時間。
必死扱いて探しまくった男は、漸く里外れの小規模な森の中心部で見付ける事が出来た。


「……鬼鮫か。」
「っ、は、イタ、チさ…ッ!探しま、…た、よι」


鬼鮫か、じゃ無いですよ!
見事に全速力で探し回らされるこっちの身にもなって下さい!
偶にはその思いつきな行動辞めて貰えませんかね?!

今日こそはビシッと言ってやろうと呼気を荒げ掛けた其此に。


不意に見慣れない色が視界を掠めた。



「………??」


イタチさんの後方。

木々からの木漏れ日を浴び、複雑に何色にも輝く眩いばかりの金色。



「……イタチ兄ちゃ、あれ誰?」


幼いその声は幼児そのもの。








……って子供?!



「ちょっ、イタチさん!もしかしてこの里に戻ったのって…」
「あぁ、この子に会いに来た。」


でろーん、と胸元まで子供を抱き上げ見せてくれるものの、
別に興味とか全く無いんですけど。
寧ろ子供は大嫌いなんですけど。



…っつか


「そんな理由でですか?!!」


高々いち幼児の成長を見に、抜け忍としてのハイリスク背負ってまで里に戻るなんて
アナタ馬鹿ですかッ?!



……あ、いやιすんません。
私何も思って無いので万華鏡写輪眼仕舞って頂けると有り難いんですけど…。ιι



「兄ちゃ?」
「ナルト、これは鬼鮫というんだよ。」
「きーさーめ、…?」
「そう。」


かりん、と棒付きキャンディの端を噛み砕きながら、小首を傾げ訪ねる子供に心底穏やかな顔で彼は返答する。



貴方、誰ですか?とか
その優しさの欠片分でいいので俺にも情けを掛けて下さいとか思いましたが言えるはずもなく。


はあぁ…
何でこの人の下に就いちゃったかなぁ自分…凹




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