竹簡2

□この恋の、鍵を
3ページ/6ページ

光秀は、凌統の傍にいれるだけて、過ぎた幸福で。ただ本当にそれだけでひどく満ち足りた気分になる。

それは、光秀にとっては間違いなく最後の恋だったからだ。

恋情が情欲に直結するような、そんな恋は随分と昔のものであった。

だから見落としていたのだ。

自分がぬくぬくと幸福に浸っている間に、傍らの凌統が、じりじりと餓え、焦がれてる事実を。

その事実を認識して、躯の奥底に沸きがある思い。

求められてる歓喜と羞恥。

気づいてやれなかった自責と悔恨。

そして、戸惑い。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ