竹簡2
□この恋の、鍵を
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光秀は、凌統の傍にいれるだけて、過ぎた幸福で。ただ本当にそれだけでひどく満ち足りた気分になる。
それは、光秀にとっては間違いなく最後の恋だったからだ。
恋情が情欲に直結するような、そんな恋は随分と昔のものであった。
だから見落としていたのだ。
自分がぬくぬくと幸福に浸っている間に、傍らの凌統が、じりじりと餓え、焦がれてる事実を。
その事実を認識して、躯の奥底に沸きがある思い。
求められてる歓喜と羞恥。
気づいてやれなかった自責と悔恨。
そして、戸惑い。