竹簡2
□この恋の、鍵を
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バレンタインの夜だった。その夜は、記録的な大寒波に見舞われ、交通網が完全に麻痺していた。
だから、泊まっていきなさいと言った言葉に他意はなかった。
「光秀さん、誘惑してる?」
「…え?」
断じてそんな事はない。
ただ、此方を除き込む凌統の獰猛さを孕んだ瞳に、一瞬呑まれた。
「なんてね。冗談ですよ」
にこりと笑った顔からは、獰猛さはなくいつもの飄々とした彼だった。
その様子に、漸く凌統の飢えを知る。
不覚だった。
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