図書館

□ホワイト。
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叩き起こされた躰を撫でる風が心地よかった。


ホワイト。


「みろよ!いい天気!」
加藤は、開け放した窓から覗く青い空を見て、子供のように声を上げた。
はしゃぐ加藤と正反対に不機嫌な中本は窓の横で我がもの顔の加藤にシャツをぶつけた。
「ひとの部屋でいつまでも裸でいないでください」
「いいじゃん、透悟しばらく帰ってこないって」
楽観的な加藤に、中本は頭を抱えた。確かにここは、中本と新井の部屋だが他の面子が現れないとは限らない。お子さま志村が興奮に我を忘れて『ねぇ、ねぇ、聞いて!』といきなりドアを開ける確率は決して低くないのに。加藤の頭にはそういう危機感は皆無らしい。
「着替えちまうの?」
窓の外に夢中だった加藤は、こちらをみて残念そうに眉を下げた。
「いつまでも裸でいられますか」
バタバタと白いカーテンが風に煽られて鳴る。
加藤の背景に見える空と白い雲を見て暑くなりそうだと小さくため息をついた。
「出掛けたいんでしょ?」
中本は、こんな晴れた日に部屋にいる加藤は想像できなくて問い掛けた。
「なかもと〜っ!」
キラキラ目を光らせて飛び付いてきた。
「暑い!」
顎に一発くらわせて、それでもにやけたままの犬に支度を急かして。
さぁ、出掛けようか。
青い空と白い雲のしたへ

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