図書館

□マグカップ
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いつものメンバーでいつもの加藤達の部屋。ポットがないものだから、いつもの如く自分の部屋で5人分の紅茶を用意する。いつもの通り4人分入れてから、イギリス育ちの彼のために高い紅茶の入った缶に手を出して、目に入ったカレンダーに動きを止めた。
2月14日 バレンタインデー。
眼鏡の奥で微かな笑みを浮かべて取り出したのは紅茶ではなく、ココア。チョコはなくてもこれくらい。



「あ〜!高城君だけココアだ!ずるい!!」
そういう志村に
「すみません。彼の分しかなかったので」
言って高城を見遣れば、
「諦めろ、志村。例えまだ有ってもお前には渡らないから」
「なんでさ!?」
食ってかかる志村を無視して、向かう視線は中本へ。
ほんの数秒。互いの瞳に映った顔は微かに朱かった。
 

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