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□Scarlet&Blue
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Scarlet&Blue

対極に位置する僕たちは
けれどきっと同じもので出来ている。
躯を支配する血が同じ赤であるように。
僕等が蹂躙しているこの星が青であるように


休日に二人してぶらぶらと歩く。
新井君が、ピアスを二つ手に取り悩んでいた。
サファイアとルビーのピアス。
「赤のが似合いますよ」
なんとなく思い付いたまま言ってみたら目を丸くして
「珍しいな。そんなこと言うなんてよ」
笑いながらそう返して来た。結局、二つとも買って帰った。
「どうして二つとも帰って来たんですか?」
「なんとなく…切り離すとかわいそうな気がしてな」
二つを並べて呟く。そんな彼に近づいて
「サファイアとルビーって同じもの何ですよ」
「そうなのか?」
「えぇ…サファイアの中の紅い色がルビーって呼ばれているんです」
こんなに違うのに同じなんだな。彼は言う。
人の都合で別離を余儀なくされた物を見て
「似てるな…」
「何にです?」
「俺達に」
器に入らないから優等生だの不良だの、勝手に名付けられて。
対極に位置付けられた。それでも僕等は同じもの。
「ヒトから何を言われても気にするなよ」
『あんな不良と一緒いたら良くない』とか。『あんな優等生といて楽しいのか?』だの。
「愛してる」
唐突な告白は、対極な僕等を溶かしていく。
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