書庫室

□白く降り積もる
1ページ/3ページ

[生きている事]と[死んでいる事]の境目はどこにあるのだろう。
肉体の消滅が死を指すのなら、今の自分はなんなんだろうか。
非現実的なこの躰は、いつのまにか現実のものとして世界に馴染み、日常は外と変わらず過ぎていく。
[変化がない]それだけが外との大きな違いだった。
「巽、今週誕生日だろ?どっか行きたいとこある?」
年末の忙しく過ぎていく中。都筑の言葉で自分の誕生日に気付く。
「そうですね。付き合ってもらえますか?」
「もちろん!」
都筑は満面の笑みで答えた。それに穏やかな笑みを返しながら告げた巽の言葉に都筑は眉を潜めた。
「ちょっと、悪趣味じゃない?」
「でも、付き合ってくれるんでしょ」
都筑は不服そうにしながらも頷いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ