書庫室

□家族≠家族
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俺にとってお前は、
父であり
母であり
兄であり
姉であり
家族そのものだった。死んで会えたのがお前でよかった。
―…そう思う。



すっかり家族として馴染んだあいつが爆弾を落とした。それは、出張先で仕事をこなして疲れ果てた夜のこと。まどろみかけた俺の耳に奴の声が届いた。
「ねぇ、密。家族にならない?」
ふざけたことをぬかしやがる。もう、とっくに家族だろ。そう思ってる俺に、奴の感情の熱が届く。
重く息を吐きだして、奴の顔を見る。
「なに、三流ドラマみたいな台詞吐いてやがる」
「みたい、じゃなくて本気なんだけど?」
思わず舌打ちをしたくなる。どうしてそんな風に言うんだ。そんな、切羽詰まった顔で。いつもみたいにアホみたいな顔で笑ってろよ。
「密、」
「っ!」
距離をつめてくる彼に、思わず体を堅くした。
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