竹簡2
□罪つくりな華
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目の前に品よく座る、天下人を兼続は、ひたりと見据えた。
「私は、貴方が天下をとったこと、いまだに承服しかねている」
きっぱりと、良く通る声で告げたが、光秀は微笑を浮かべただけで、言い返すでもなくただ手際よく茶をたてる。
「どうぞ」
美麗な所作で差し出された茶と穏やかな笑みに、一瞬、気圧される。
「頂こう!」
気圧されたことを隠すように、無駄にでかい声を響かせたが、光秀は咎めもせず微笑んだ。
「……っ」
……美味しい。
そんな想いが、顔にでたらしい。兼続をみる光秀の笑みが深くなる。
「…っ!」
「兼続殿?いかがなさいました?少し顔が赤いですよ?」
そう言って、近寄ろうとする光秀を兼続はギロリと睨む。
「私は!
貴方が不義なる方法で天下をとったこと、いまだに認められない!」
「そうでしょうね」
「故に、私は貴方が嫌いだっ!!」
「私は、兼続殿が好きですよ?」
「なっ……!?」
ぼんっ!!
今度こそ、真っ赤になって固まった兼続に光秀は微笑みかける。
「貴方は、個人的に私を嫌っても、天下の為には手を貸して下さるのでしょう?
私は、貴方の実直さと柔軟さを信頼してるんです。」
「………っ」
「貴方の愛と義を信じてますよ」
「嗚呼!任せてください」
無駄にでかい美声が響いた。
三成「……兼続も落としたか」
家康「これで、上杉も落ちましたな」
ガラシャ「さすが父上なのじゃ!」
幸村「……政宗殿も先日落とされてましたね。」
ガラシャ「ほむ!これで東は安泰なのじゃ!」
稲姫「立花様から聞きましたが、島津は光秀様への貢ぎ物で連日会議をしているとか…」
清正「西も落ちてるじゃないか」
孫一「まるで傾城の美姫って感じだな」
ガラシャ「まご!失礼を言うでない!!父上は、傾城どころか、この国を一つにまとめておられるのじゃ!」
天下人は、罪つくり。
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