書庫室2

□Memorial
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成長しない自分達を、変わらない自分達を記録してどうなると反発していた頃があった。
『思い出したいときに必要でしょ?』
『…』
黙り込む俺の髪を撫でようとして引っ込められた手を覚えてる。
『俺みたいに年取ると、昔を懐かしみたくなるもんなの。その時写真があったら楽しいじゃない』
俺とお前の間に、そんな浸れる想い出なんか作れないと思っていた。
「変わらないな」
「変わらないね」
にやけた都筑と仏頂面の俺の写真が毎年毎年増えていく。
変われないことに焦っていた時があった。
変わらないことに安堵している今があって。
「変わらないのも悪くない」
初めて都筑が俺との正月を祝って撮った写真を見て苦笑。
詰まらなそうな、冷めた顔をしている自分。隣には、しまらない笑みの都筑がいた。
変わらずに隣にいる距離が嬉しくて、幸せで、ほんのすこし怖い。
「撮ろうか?」
「今年もか?」
「勿論、来年も」
「ばーか」
オートタイマーにセットして。




「A HAPPY NEW YEAR」
「…っ!?」
変わらない俺達に軽いジャブ。
シャッター音と一緒に軽い口付け。
「……………ひ、ひそか?」
「初接吻だな」
「……………ひめはじめも済ましておく?」
「へっ?っあ!!?…ばかっ…っん…ちょ…まっ」
相変わらず俺達は変わらない日々を重ねていく。


END
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