竹簡2

□鳴神と父上様
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雲が低く垂れ籠め、月も見えない夜だった。

一瞬、吹いた生暖かい風があっという間に雷雨に変わる。


「ちゃんと寝ないと、雷様におへそを取られてしまいますよ」

真夜中だというのに、トテトテと光秀の元へやってきた娘へ、一旦、執務を中断しやんわりと諭す。

すると娘は、光秀にぎゅうぎゅうとしがみつき言った。

「ならば、わらわが父上のお臍を守るのじゃ!」

驚く光秀の袖を引き、床へと向かう。

「はよう寝なければ、父上のお臍が雷様に取られてしまうのじゃ!」


「……。そうですね」

ふっ…と相好を崩して光秀は笑った。

娘の愛らしさと、その温もりが呼ぶ睡魔に負けて、光秀は深く寝入ったのであった。



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