随筆

□5病棟での出来事
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入院する時は誰が付き添ってくれたんだろう?

ひとりで行った覚えはない。

きっとHか母に付き添われていたと思う。

私のまわりで起こった事に関心はあっても、家族には関心がなかった。


入院手続きをすます。

担当看護士さんが私の入る病棟(5病棟)と病室を案内してくれた。

4階の病棟までエレベーターで上がる。

エレベーターを下りたら男の人もいる。

 男女混合病棟。

相手は痴呆の老人ばかりとはいえ正直恐い。

病棟内の平均年齢は80前後?

私が平均年齢をぐっと下げた。


部屋は2人部屋。

窓際のベッドが私の場所

窓は10センチ位しか開かないようになっている。

 自殺防止…?

初日はひたすら眠りたかった。


でも、T先生と約束していた事がある。

『昼間はどんなに眠たくても起きている事』


看護士さんも

『T先生には、おしりをツネってでも起こしてるようにって言われているからね〜』

と言っている。


思わず笑ってしまった。


入院の目的は

生活習慣‐昼夜逆転‐の改善。

やる事もやりたい事もないので、とりあえずベッドに横になる。


眠りたい…。


察したのか、看護士さんが様子を見に来る。

『寝ちゃぁダメよ!!』

看護士さんが続けて話す

『病棟にお爺ちゃんがいると…落ち着かない?…わよねぇ…
若い子の病棟は他にあるんだけど、夜中なんて廊下で騒いでてとてもうるさいのよ。
あなたの入院目的は‐静養‐だから、この病棟になったのよ』


そう言われてしまえば納得するしかない。


昼間はベッドで横にならず、座るだけ。

と約束した。



自分としてはかなりがんばったけど、夕方に寝てしまった。

先生も看護士さんも

『初日にしては上出来』

と言ってくれた。

入院期間は14日前後だけど、先生は


『この調子で起きていられたら、思っているより早く退院できそうだね』

とも言ってくれた。
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