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□結 7話
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『ってことで一年間このメンバーでチーム曲はやっていきますので。みんなよろしくね』

よろしくお願いします、と頭を下げる。いよいよ本格的にレッスンが始まるんだな、と身が引き締まる思い。まだ会って数回程度の私達は、改めてチームのメンバーの方々に自己紹介をする。



「太田夢莉です。ダンスの経験はないんですけど…頑張ります」

「あれ、さや姉と夢莉ちゃんのジャージおそろやん?」


短く切り揃えられた金髪が眩しい、三年生の木下さんに突っ込まれる。



「え、あ、ほんまですね…」
『な、そうやんな。私も好きやねんこのブランド』



私が目に見えてどぎまぎとしていたら、彩さんがさらっとフォローしてくれる。こういう大人なお姉さんなところもスマートで胸がときめく。




『そんな事はいいとして。これが次の他大との合同イベでやる曲と、フォーメーション。木下と夜な夜な寝ずに決めました。な?』
「そうでーす。かっちょいい曲になってます」




見ると、最後列から7・5・3・1のフォーメーションになっていて、1のセンターはもちろん彩さん。二列目の3人に木下さん他の、三年生の先輩。私は当然最後列の端だろうとでも思っていたけれど、三列目の5人中の真ん中だった。



『一年生は未経験の子が多かったから、とりあえず曲の雰囲気を考えて決めたから。だから次の曲は、分からんけど、頑張って』



主に私の目を見ながら彩さんが言う。彩さんが、期待していると言ってくれたのはこういうことでもあったのか、と合点が行く。その思いに応えたくて、身を引き締めたけれど、その課題曲と振りVを彩さん達に見せられると、その決意は簡単に崩れ去った。彩さんと木下さんは既に完璧に振りを入れていて、Vと一緒に踊ってくれた。その姿に圧倒される。振りの難易度も決して低くなさそう。悪目立ちしないだろうかと心が掻き暗す。いやいやいや、私には無理やって…。




『じゃあとりあえずは各自で振りV見て来て。来週から少しずつ合わせて行きましょう』



そう言って彩さんが一人一人に焼いてくれたディスクを渡してくれる。頑張ろうなぁ、と肩を叩いて声をかけてくれたけれど、何となく彩さんの声がいつもより遠かった。20時も少し回っていたので、全体曲の発表があり、こちらは最後列の端から三番目で、胸を撫で下ろしたのだった。
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