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□結 5話
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授業が始まっても、何となく彩さんが後ろにいると思うと落ち着かない。でも、彩さんが後ろにいるのならしっかり集中してるところを見せないと、なんて思ったりもする。彩さん、真面目そうやし。そう思って教授のあまり面白くもない話に意識を傾けていたら、授業も中盤に過ぎた頃、ペンケースの横に置いていたサイレントマナーにしているスマホの画面が光る。見ると彩さんからのメッセージだった。





『夢莉ちゃん、この授業で終わり?』




彩さんでも授業中にスマホ弄るんや、という新しい発見に親近感を覚える。すぐ後ろにいるのにメッセージを送ってくるところも何だか可愛くて頰が緩む。教授から見えないようにスマホを隠しながらコソコソとするそのやり取りは、彩さんと秘密の関係を深めてるようでドキドキする。






「はい、終わりです」
『その後、暇?』
「帰るだけです」
『じゃあ、ちょっと付き合ってくれへん?』




私の好きなキャラクターが?を浮かべているスタンプを送る。






『お買い物。デートしよ』






彩さんからクマがハートを抱えたスタンプと一緒に返されてくる返事。やばい、胸が高鳴って止まらない。城に見つからないように、にやけそうになる顔を必死に抑えて、返事を打つ。






「はい、喜んで」
『やった(*^^*)じゃあ、終わったら文学部棟の入り口で』
「了解です!」







授業が終わるまで、残り約三十分。彩さんに誘われたことはもちろん、そのお出かけに「デート」と名付けられたことにも、私の心臓は鼓動を早くする。教授には申し訳ないけれど、残りのその時間は授業どころではなく、頭も心も彩さんでいっぱいだった。


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