longU

□結 4話
2ページ/3ページ





彩さんが促すと他の先輩方も彩さんの隣や後ろに並んだ。初めに披露された曲は私でも耳にしたことのあるダンサブルな洋楽で、先輩方の明るくはつらつとした雰囲気にとても合っていて見るだけで心が踊った。どうしたってセンターにいる彩さんに目が行ってしまうけれど、他の方々のパフォーマンスもとてもこの前まで初心者だった、なんて人が多い集団には見えなくて、尊敬と同時に一抹の不安を覚えた。





その後、サークル員を3つに分けたグループ曲での披露。一つ目は彩さんをリーダーとして、二つ目は二年生ながら経験者の朱里さんがリーダーで、三つ目のリーダーの方は、先月から海外に留学していて不在だそうだ。その代わりを紗英さんという二年生の方が務めているとのこと。一年生は、経験や雰囲気を鑑みてこの三つのどこかに振り分けられ、グループ曲を練習することになる。




実際にグループ毎のダンスを披露して頂くと、確かにそれぞれ違った雰囲気のパフォーマンスがそこにあった。彩さんのグループはクールで格好良くて、朱里さんのグループはふんわり可愛らしい、紗英さんのグループは妖艶で色気があるような。絶対に紗英さんのグループでは無いなと一人で密かに確信をした。可愛い系も柄じゃないし、彩さんのグループがいいなぁ。彩さんが、いるし。






そんな少し邪なことを考えていると始まった最後のα内で幹部の方が選抜したという7名でのパフォーマンス。一年生を除くと約50名ほどの中から選抜された方々だ、大学生でもあるし、見惚れるほど引き込まれる数分間だった。
特に、ここでも真ん中に立つ彩さんは、電車やファミレスで見せてくれた気取らない姿とは別人かのように思えるほどだった。彩さんがソロパフォーマンスをする瞬間では、同じサークル内なのに歓声が上がる。そういえば朱里さんが言っていたな、サークル内外にファンがいる、って。分かっているつもりだったけど、私なんかがあんなに構ってもらえていたことを何だかおこがましく思う。






『…はい。一年生のみんな、どうやったかな?これから一緒に頑張っていきましょう』





そう言って先頭に立って締め括る彩さんは、やっぱりもの凄く遠い、雲の上の存在のように思えた。




全てが終わった後、一緒に帰れるかと少しだけ期待したけれど、彩さんは他の先輩方に囲まれていたので、自分なんかが待っているのも気が引けて一人で大学を後にした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ