longU

□結 11話
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たまにまったく無意識にとんでもないことを口走ってしまう自分がいる。ただ純粋に、もう時間が遅いからと心配で、彩さんに「泊まって行きませんか?」なんて誘ってしまった。





「……やば」



つい独り言が漏れる。彩さんって私にとって芸能人と同じような感覚で、雲の上というか存在がフィクションなんじゃないかって疑ってしまいたくなるような、そんな人。その人が私のお家にいて、今絶賛シャワーを浴びている。そんな現実に心が着いていかないのか、ずっと鼓動が早くてうるさい。





『夢莉ちゃん、お風呂ありがとぉ』
「あ、いえ、はい。ドライヤーとか、何でも使ってください」
『ん、ありがとなぁ』



お風呂上がりの彩さんを見るなんて何だかしてはいけないことな気がして、そう言って足早に自分もシャワーを浴びようとて浴室に逃げ込んだ。





「…………っはぁーーーー………」



ため息だか深呼吸だか分からない深い息が自然と漏れる。彩さんに聞こえないように勢いよく蛇口を回してシャワーを浴びた。
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