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□結 10話
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ふと目を開けると、隣に綺麗な女の子が眠っている姿が映って驚いた。私は他人の家で、しかも初めて来た後輩の家で眠ってしまっていたのか、と不甲斐ない自分を反省する。



私は山本彩。大学では国文学を学びながら、ダンスサークルの代表を務める三年生。



側で眠る女の子の寝顔を見つめながら、ぼんやりとその子と初めて会った時のことを思い出す。



見つけた、と思った。


小顔で長身、すらりと長い手足にきめの細かい髪のショートカット。作り物かと疑うくらい整った鼻筋に涼やかな目元。自分から決してそれを主張しないのに、誰が見ても目を惹く存在感と魅力が彼女にはあった。



私が一年時にαに入部してから、半年と経たずにセンターを任せて頂くことになった。αはそれまで、普段の練習には来なくても飲み会には来るような、そんな幽霊部員が蔓延しているサークルだった。とりあえずダンスサークルに所属しておこう、という軽い気持ちで私自身も入ったから最初は良かったのだが。それから約二年弱、センターだけでなく実質リーダーのような周りを牽引する役割を自分が担って、今では単純に全員が良いパフォーマンスの為に一丸となっていけるような、そんな団体になりつつあると自負している。それは、私のセンターを望んでくれたみんなのおかげでもあって。

私がαの代表且つセンターとして活動が出来るのは、就職活動が本格化するまでの残り約一年だ。
せっかく作り上げたこの存在、私が退いた後にαがまた以前のような雰囲気に戻って欲しくないと思っていた。でも私がいなくなった後に、誰が真ん中のこのポジションに立つのだろう。朱里や紗英ちゃんは、華があって人柄も伴っているから良いなぁ、などとぼんやり考えてはいた。


けど、この子を見たときにその圧倒的な恵まれた容姿に驚きすら覚えて、純粋にこの子がそこに立つその光景を見たいと思った。



そんなこんなで、新歓コンパの帰りに急いで後を追ったり、グループLINEからわざわざ連絡先を探して自分から連絡したり、発破をかける為にレッスン着をプレゼントしたりと、目に見えてこの子に対してモーションを掛けたくなってしまったのだった。
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