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□結 6話
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早く授業を終わらせてくださいと教授と時間を心の中で急かしてみても、何も変わらなかった。ようやく5限目終了の鐘が鳴る。やっと終わった。




「彩さん、お疲れ様でしたっ」
『城ちゃんやっぱ寝てたな』
「寝てないですよ〜!」
『はは、じゃあ二人ともお疲れ。金曜から練習やで』
「はいっ!楽しみにしてます!」



そう言って彩さんはご友人と教室を出て行った。あれ、彩さんに何も言われなかったけど、私今から彩さんとお出かけするってことでいいんだよね…?と先程のLINEを見直す。「終わったら文学部棟の入り口で」と書いてある。多少不安になりながら、まだ次の時間に授業を取っている城とはそこで別れ、急ぎ足で教室を出た。





大学の建物って、いちいち広くて、複雑だ。1階だと思っていたそこが''中2階''とかだったりする。まだその構造に慣れてないので、入口になかなか辿り着かない。彩さんをお待たせしてしまっていたらどうしよう。あまり待たせたらいなくなっちゃったりしないかな。そもそも彩さんは本当に来てくれるのかな。あのやり取りは私の幻想じゃないよな。そんなことをぐるぐる考えながら、構内図を見てやっと目的の場所を見つけると、柱にもたれてスマホを弄っている彩さんが目に入った。



「彩さんっ、すみません、お待たせして」
『何か時差あったなぁ』
「まだよく分かってなくて…」
『確かにそうやんな。ごめんごめん、教室から一緒に出ても良かったんやけど』
「そうですよ…彩さん何も言わないから、本当に行くのかな?って思っちゃいました」
『んー私の友達とか城ちゃんもおったから』
「おったらだめでしたか?」
『夢莉ちゃんと二人で行きたかったから』




彩さんの言葉にまた私の心臓が跳ねる。城、ごめん。彩さんは、私と二人で行きたかったんやって。私と、二人で、行きたかった、やって。彩さんの言葉が脳内をこだまして、全人類に自慢したいくらい心が舞い上がる。でも私も、同じ気持ち。





『じゃあとりあえず行こ』
「どこ行くんですか?」
『ウェアを買いたいねん、練習の』
「あ、私もです」
『やろ?一緒に見てあげる』
「やった。お願いしますっ」
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