longU

□結 1話
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土曜日の夜。城から告げられた場所へ急ぎ足で向かう。来月から始めようとしたバイトの面接が長引いて、少し遅れてしまった。気後れしながらまだ慣れない東京の居酒屋に入ると、既にその会は始まっていた。そういえば詳細はあまり聞いていなかったけど、そのダンスサークルは女子限定で、名前は『α(アルファ)』。
会の途中で入るのは気まずいな、そう思っていたら一人の先輩と思わしき女性が私に気付き声をかけてくれた。




「んー!みんな、もう一人新入生きてくれたで〜!」
「は、はじめまして…」
「可愛いな、何ちゃん?」
「太田夢莉、です」
「夢莉ちゃん!可愛い〜私は朱里。来てくれてありがとうな〜こっちおいで」
「ありがとうございます……」



城はすっかり他の先輩方と楽しくお話しているので、朱里さん、が私の相手をしてくれる。東京のお姉さんはやっぱり綺麗やなぁ、とか思ってると、聞くに朱里さんも関西出身らしく、すぐに心を解くことができた。朱里さんがサークルについての話をしてくれる。





「夢莉ちゃんダンス経験者なん?」
「全然です……」
「大丈夫やで、そんな人ばっかやし!」
「そうなんですか」
「うん、うちはそんなにがっつり大会とかを目指すようなサークルでもないから」
「でも、新入生歓迎会の時の、皆さんカッコよかったです」
「あ〜先週やったやつな?」
「センターの方とか、すごかったです」
「あーさや姉か!やっぱりそうよな〜!」
「ほんと、かっこよくて」
「うちのエースやから。かっこいいよな」
「今日はいらっしゃらないんですか?」
「いや、遅れて来ると思うけど…」










『みんな遅れてごめん〜!』


そう言いながら、黒髪の女性が顔を覗かせた。先週は遠目で見ただけだったけど、すぐにあの人だと分かるくらい、近くで見ても綺麗で可愛くて、存在感のある人だった。


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