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□結 1話
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太田夢莉、18歳、奈良県出身。でしたが、少し前から東京都民とかいうやつになりました。
と言っても、都心からは少し離れた、東京にしては空気の綺麗な場所に位置する大学に、入学した。



慣れない一人暮らしと、初めて家族から離れた生活は寂しいけれど、憧れていた土地と大学で新しい生活をスタートできたことに日々胸は弾んでいた。



4月も半ば頃に差し掛かり、サークルの勧誘が始まる。部員を募集するために新歓コンパなるものがどこのサークルも行われていて、新入生はお金をかけずに夜ご飯を飲み食い出来るからと、入る気もないのにそれを梯子する猛者もいた。特にやりたいこともないけれど、一応何かに属した方がいいのだろうな、とぼんやり考えていると、同じ学部で、同じ関西出身ということですぐに仲良くなった城恵理子が声をかけてくれた。






「夢莉、今度ダンスサークルの新歓行かへん?」
「ダンスかぁ…やったことないんよなぁ」
「この前一緒に見たやん!サークル紹介のときの」
「あ〜あの講堂でやってたやつ?」
「そうそう、センターの人がめっちゃかっこよかった!」






先週、サークル紹介と称してさまざまなサークルが各々の活動を披露する場があった。その時の一つであるダンスサークルだという。あまり記憶にないけど、センターの人が一際目立っていたことだけは覚えている。





「あんな風に踊るの絶対無理やわ」
「未経験でも大丈夫やって!夢莉スタイル良いし似合うと思う」
「運動も苦手なんやけど…」
「とりあえず行くだけ行ってみよ!な!」





半ば強引に約束を取り付けられ、日程を教えられた。初めて会う人とお話をするのも苦手なのだけど、せっかく誘ってもらったので軽い気持ちで話に乗ることにした。
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