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□stayhome
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持て余したダブルベッドの隙間を埋めるように大きく伸びをする。
すぐ隣にはまだあどけない顔をした6個下の恋人が寝ている。無駄のないフェイスラインに高い鼻…いつ見ても綺麗な顔してんねんなあ。
毎日同じ時を過ごし、よくもまあ飽きずに四六時中一緒にいられるよなと周りから揶揄われる私たちだが、ステイホームと言われる時代に不謹慎ながらもこっそり感謝している部分もある。
だってこんなに大好きな恋人と家の中で二人きり、まったりとした時間の流れを誰にも邪魔されることなく共有できるんやもん。
ついちょっかいを出したくなるその丸みを帯びた頭に手を伸ばし、ふわふわとした髪の毛を撫でてみる。
『…っさやかちゃん』
ふぁ〜なんて欠伸をして私の方に向き直る。
私が起こしたのにも関わらず「おはよ」とひとつチュッとキスしてくれる愛おしい恋人。これは私が教えた事のひとつやった。
「お腹空いたなあ」
『なんか作ろか?』
自分のことは疎かにするくせに、いつも私のこととなると過保護かというくらい動いてくれようとするのは好きなところのひとつや。
そんな想いを抱き、ギュッと胸に顔を埋めるようにして身体に引っ付いてみる。
『お腹空いたんじゃないん?』
「ゆうりたん食べたい」
『…何ゆってるんですか』
照れたときは語尾が敬語になるところも愛おしい。
ふっと顔を上げるとバチっと目が合う。
初めは照れたように目を逸らして、手の甲で顔を隠していた夢莉だったけど、次第にその視線が熱へと変わり、どちらとも無く引き寄せ合う。
こういうときは夢莉が自ずとリードしてくれる。
『さやかちゃん可愛い』
寝起きの少し低い声が耳元でそう囁いて、私をドキドキさせてくれる天才やなあと改めて思う。
それから真剣な眼差しのまま降りてくるその端正な顔立ちに身を任せるようにして、大好きな背中に手を回した。