Book
□充電
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「ゆーり…」
いつもより少し掠れた声で私の名前を呼ぶ愛おしい人。
壁にもたれかかって眺めていた台本をそっと机の上に置き、その愛おしい人がいる方へ向き直る。
「…なあ、次いつ帰ってくるん?」
明日から始まる長期に渡るドラマの撮影が決まった時から実は嬉しさよりも先に、その愛おしい人と少しの間会えなくなるという現実に耐えられるかという思いが過ってしまったのはここだけの話。
『んー、1ヶ月後…とかかなぁ』
目も合わせず曖昧な答えで語尾を濁してしまった私はすぐに後悔した。
チラッと見た先にいる彼女は少し怒っているような今にも泣き出しそうな顔をして私を睨んでいる。
これは早めになんとかしないと…。
牽制するように恐る恐る名前を呼んでみた。