小ネタ倉庫
□ホットミルク【三井】
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私と寿は会計を済ませ、ドリンク受け渡しの列に並ぶ。
「何注文したんだよ?」
カウンターにもたれ、店員から受け取ったレシートを指に挟んでペラペラと揺らしながら聞かれる。
「ホットミルク」
「またか。熱いだけの牛乳」
「ホットミルクって言ってよ」
「ただの熱い牛乳だろ」
前の人がドリンクを受け取って立ち去っていくのを見て、二人揃って一歩前へと出る。
「寿は?」
「期間限定のやつ。名前は知らねぇ」
「ちょっと飲ませてね」
「なんで自分で頼まねぇんだよ」
ホットミルクが先にカウンターに載せられて、私はそれを受け取る。
「多いんだもん」
紙カップが熱くて、右手と左手交互に持ち替える。それを見て寿はカップの上部を指先で掴んで私の手から奪い取る。
店員が寿の分のドリンクの完成を告げ手渡す。寿はそれをそのまま私に手渡す。
「半分は残せよ」
そう言ってホットミルクに口を付けながら、空いている席を探している。
私はこれがしたいから、熱いだけの牛乳をいつも頼むのだ。