明日への扉
□19話
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病院からヒロインが倒れたと連絡を受け、駆けつけたオレ達はまず、診察室に通された。
「ヒロインさんは隣人に引っ越しの挨拶に行ったそうです。その時急に倒れて、意識のない彼女をその方がここまで抱えて見えました」
「そうでしたか。で、ヒロインの容態は?」
「検査には異常はありませんでした。
記憶の方ですが、ヒロインさんが目覚めてみないと、なんとも…」
「おじさん!ヒロイン姉ちゃんも気がついてるかもしれないし、とりあえず病室に行ってみようよ」
「そうだな。どうも、ありがとうございました」
医師にお礼を言って頭を下げ、ヒロインの病室へ向かう。
三度のノックの後、やはり返事のないヒロインの病室の扉をゆっくりと開ける。
「ヒロイン!」
ベットの上で上体を起こし、窓の外を眺めていたヒロインが、蘭の呼び掛けにゆっくりとこちらに顔を向ける。
『蘭…』
振り返ったヒロインは大粒の涙をぽろぽろと零しながら呼び掛けに応えた。
ーー! まさか…!!
「ヒロイン、お、お前、まさか…」
『おじさん…!』
「ヒロイン姉ちゃん!」
『コナン君!』
「ヒロインー!!」
涙を流したまま笑みを浮かべ、オレ達の呼び掛けに、以前からの慣れ親しんだ呼び方で応えるヒロインに蘭は駆け寄り、そのままヒロインを抱きしめた。
『蘭…、おじさん、コナン君、ごめんなさい…!
私、酷いことを…!!』
「んなこたぁいいんだよ!
それより記憶が戻ってよかったな!」
『うん!ありがとう』
泣きながらヒロインはうれしそうに笑った。
『蘭…。私、全部…全部思い出した…。
私、やっぱり……あの人のこと…好き、だったみたい…』
「…そっか……そっか…」
そう言って蘭は涙を流しながら一層ヒロインを強く抱きしめた。
おっちゃんはぽんっとヒロインの頭に手を置いた。
それを皮切りにわあっと声を上げてヒロインは蘭に泣きすがった。
ヒロインの気持ちを目の前にしたオレは、泣きじゃくるヒロインに何もできず、ただ拳を握りしめていた。