・short story
□追憶の光
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急いでいくと見覚えのある後ろ姿が柵の近くにあった
ゆっくり近づき声をかける
「…麻友さん?」
『あれ、さや姉?なんで分かっちゃったの?』
麻友さんはゆっくりと振り向き私の姿をとらえるといつものふにゃっとした笑顔で聞いてきた
「柏木さんから聞きました。なんでですか?」
『私はもうすぐあの空に行くからさや姉から離れないと』
「そんなこと言うのやめてください…」
夕焼けで赤くなっている空を見上げて言った
「私はまだ麻友さんと離れたくないです。やから私と一緒に帰りましょ?」
『無理だよ。私はここから離れる。ごめんね、わがままで。でも最後のお願い。一緒に写真を撮って私を抱きしめて?』
涙を流しながらお願いしてきた。
離れたくなんかないけど麻友さんがここまで言うことなんかないから麻友さんの中でもう決めてるんやろな。
ここで私が止めても無理やろうな…
そう思い私はそのお願いを聞き入れた。
「麻友さん。写真撮りましょう。その後抱きしめます。」
『さや姉…ありがと』
写真を撮り少しの間抱きしめていた。
『さや姉…私はもう行く。ほんとにわがままでごめん。だから、私のことは忘れて?』
「忘れることなんか出来ん…よ」
『ゆきりんやさっしーにも言っとくから。さや姉の夢、応援してるから。幸せになって?』
「麻友さん…いつまでも笑顔でいてください。」
そう言うと麻友さんは天使のように笑い私の前から立ち去った。