名探偵コナン
□第5話
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カンカンカン―――
静かな場所で、階段を蹴る靴の音が鳴り響く。
『はっ、はっ――――。』
息を切らせながら、私は廃ビルの階段を昇っていた。
何かに必死になりながら。
早く辿り着くために。
やっとのことでたどり着いた屋上。
そこには、胸から血を流し倒れる兄と、拳銃を持って立ち尽くす男がいた。
『お兄ちゃん……!お兄ちゃん!!』
私は男には目もくれず、兄に走り寄った。
胸からはドクドクと血が滴り、服に染みを作る。
『いや……いや!死なないで!お兄ちゃん!!』
心臓の音は聞こえず、掴んだ手が冷たくなっていくのを感じた。
『ぁ…ッ!』
とても胸が苦しい。
息ができない。
目の前で死にゆく兄を、助けられない。
『(何で、こんなことに……ッ)』
『(嫌だ!死なないで!)』
『(私を置いていかないで!)』
『お兄ちゃん!!』