星空のしたで〜第2章〜(第40〜125話)

□第48話 カステラと甘い罠
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今日は夜の見回り当番中に侵入しようとしている曲者を見つけたり色々あって風呂に入るのが遅くなった。
たまたま薪がすぐ使える状態に置かれていたので、ついでに少しだけ沸かして入らせてもらおうと火をつける。

湯舟に浸かってぼーっとしていると、戸が開く音がして誰かが入ってきた。

「失礼します。」

…ん?
今の、声は。

まさかと思って振り返ると、目に入ってきたのは白く滑らかな背中。
長い髪を洗っていて顔は見えないが、間違いなくこれは…

たまみさん!?

な、なぜ彼女がここに!?
ここは男湯のはず…そうだ、確かに男湯だ。
まさか、私が入っているから追いかけてきたとか…!?
いやいや、それはない!
では何で!?
女湯と間違えた?
そもそも、こんな時間に何故風呂に入ってきたんだ!?

色んな疑問が頭のなかで飛び交ったが、目は彼女から離せなかった。

白い背中。
濡れた髪の張り付く首筋。
腰にかけての滑らかな曲線。
白く柔らかそうな脚。

見てはいけない。
そう思うのに、目の前の光景が私を魅了して離さなかった。

そして、彼女が振り返った。
その目が大きく見開かれる。

「…ど、い…せんせい…?」

彼女が慌てて体を隠す。
私はようやくハッと我にかえった。

「あっ、いや…違うんです!見ようと思ったわけじゃなくて…ていうかココ男湯なんですけどっ…!!」

「えっ!?」

たまみさんは驚いて周りをきょろきょろと見た。

「そ、そうなんですか…!?作りが同じだから気づかなかった…!」

そうなのか!?
いや、そういう問題じゃなくて…!

「と、とりあえず私が先に出て誰も来ないか見張っておくので、その間たまみさんは浸かっておいて…」

そう言いかけたとき、脱衣所に人が入ってくる音がした。

ま、まずい!!
このままでは彼女が見られてしまう…!
というか、また私達が一緒に風呂に入ってたとか噂されてしまう…しかも今度は何の言い逃れもできない状況なのではないか!?

「たまみさん、こっちに!」

私は彼女の腕を引っ張って湯舟に入れ、自分の背に隠した。
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