星空のしたで〜第2章〜(第40〜125話)

□第46話 黄昏時
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職員室で山田先生と仕事をしていると、きり丸が息を切らして血相を変えて入ってきた。

「土井先生!たまみさんが…!」

「!?…どうした、落ち着きなさい。」

「タソガレドキにさらわれた!!」

「!!?」

一瞬、思考が停止した。
今、なんと言った!?
たまみさんが、さらわれた…!?

「どういうことだ!?」

自分でも驚くほど声が大きくなった。
そこに、後ろから六年生達が入ってきた。

「説明は私達からします。」

食満が前に出た。
昨日、職員会議のなかで議題にあがっていた話を思い出した。
六年生には今日とある調査が任されていたはずだ。

「例の調査と関わりがあるのか?」

食満が頷いた。

「美人コンテストなるものをひらき女性を集め、その参加者を誘拐する…村では神隠しだと噂されていたりしましたが、その犯人はタソガレドキでした。」

「なぜタソガレドキだと…?」

「私と小平太と文次郎は会場から少し離れて観察していたのですが、突然別の建物から会場を見ていた黄昏甚兵衛が声を出し、潜んでいたタソガレドキ忍軍が一斉にたまみさんを捕まえようと動いたんです。」

「なぜ彼女がそんなところに…」

するときり丸が悔しそうに言った。

「たまみさん、女の子に景品の米をあげくて参加したんです。その子の母ちゃんと弟が栄養不足で体調悪くて…。」

「そうなのか…。しかしなぜ黄昏甚兵衛が彼女を捕まえようとしたんだ?」

立花が口を開く。

「私は参加者に混ざって彼女の隣にいたのですが、最後の審査のとき黄昏甚兵衛は彼女の演技を見て気に入ったのだと思います。」

善法寺が続けて言う。

「私と長治が係に潜入して聞いた情報では…黄昏甚兵衛は嫁を探しているそうです。」

「嫁!?城主ともあろう者がなぜ一般人のなかから?」

「噂では、夢を見たと。」

「夢…。」

たまみさんがこの世界に来たとき、学園長も夢を見たと言っていた。
私は嫌な予感がして背筋を冷たいものが走るのを感じた。

「かどわかされた娘達は、本城ではなく出城に集められています。」

善法寺の言葉に、私は山田先生と顔を見合わせた。
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