夢想乱舞


□★ 花天月地
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「それでは、三日月宗近。
我が娘、桜月のことを
頼みましたよ」

「お任せ下さい」

『それでは、母様……
行ってまいります』




光溢れ、花々が永遠に咲き誇る
天上界・高天原にて。

高天原を統治する女神であり、
日本の最高神である
天照大御神への謁見を終えた
三日月宗近と主の桜月は、
光の柱に包まれ、無事に
地上界の本丸へと帰還した。




『ふぅ……宗近さんは、やっぱり
母様の前でもいつも通りで、
全然緊張してない感じでしたね』

「そう見えたか?あれでも、
俺なりに緊張していたんだが」



桜月はその返答に
思わず声を上げ、驚いた。

いつも冷静沈着で、緊張とは
無縁だと思っていたが、
三日月達、刀剣男士は
神様のヒエラルキーでは
下層に位置する付喪神。

やはり、天上界に御座す
最高神との対話は、流石の
三日月でも緊張したらしい。

そんな風には一切見えないのが、
また三日月らしいと思う。




この本丸の主である
審神者の少女・桜月は、
日本の八百万の神の頂点に座する
太陽の女神・天照大御神の娘。

時の政府が、特待生として
桜月をこの本丸の審神者に
就任させたのがきっかけで、
五年を経て、この本丸の
長老的な存在である三日月宗近と
晴れて結ばれ、二人は
夫婦の契りを交わした。


桜月の母親である
天照大御神への挨拶も終えて、
いよいよ、今夜が初夜。

湯浴みを済ませて、白絹の
寝間着に着替えた桜月は、
高鳴る胸を抑えながら
静かに襖を開けて入室し、
三日月が座る二人分の布団の
片方に座った。



「緊張しているか?」

『はい……』

「ならば、ちこう寄れ」



三日月は優しい声音で
桜月を呼び、抱き寄せる。

温もりを実感するように
しっかりと抱き締めてやれば、
桜月の緊張は次第に
解けていき、落ち着いていった。



「桜月、愛している。
俺の妻は生涯、お前ただ一人だ」

『宗近さん……私の旦那様も、
これからの生涯で貴方だけです』

「ふ……浮気は許さぬぞ?」



三日月の長く美しい指先が
桜月の顔の輪郭を撫で、
顎まで来ると、そのままくいと
軽く持ち上げて、形の良い
艶やかな桜月の唇を
三日月の唇が優しく塞いだ。


優しく甘い口付けは、次第に
熱く深く官能的なものへと
移り変わり、二人はどちらから
ともなく布団に倒れ込み、
蕩け合うように舌を熱く
絡ませ合わせた。


二人の唇が離れる頃には、
すっかり一体化したお互いの粘液が
銀色の糸となり、濡れ光って
舌先を繋いでおり、二人は
至近距離で見つめ合った後、
また酔い痴れるように
唇を深く重ねた。





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