夢想乱舞


□* 放課後Darling
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授業開始を告げるチャイムが鳴り、
女生徒達が教室へ帰ると、
途端に保健室内は静寂に包まれる。


今、この空間には
桜月と光忠しか居ない。


シャッとカーテンが開き、
すぐに後ろ手で閉められると、
光忠が優しい微笑みに
妖艶さを孕む眼差しを向け、
桜月の寝ているベッドに手を着いた。



「……桜月ちゃん?」

『…………。』

「ふふ、拗ねてる?」

『……知らない』



桜月は光忠に背を向け、
あからさまに不機嫌MAXな声音で
素っ気ない返事を返す。

そんな拗ねる様子まで愛おしい
最愛の幼妻の髪の毛をそっと払い、
光忠は、桜月にしか
言わない台詞を耳元に囁いた。



「桜月、愛してるよ」

『んっ……!』



やっぱり、この人は意地悪Sだ。

私が耳が弱いのを知ってて、
この攻撃だ。うっかり、
感じた声が出ちゃったじゃんか……



「僕が愛している人は、この世界で
桜月ちゃんだけだし、
ヤキモチなんて妬かなくても、
僕は桜月ちゃんのものだよ?」


そう、耳元に甘い声で囁きながら
耳の裏にキスをされ、私は
また変な声が出そうになるのを
必死に抑えて、シーツをぎゅっと掴んだ。



「可愛い……ねえ、お願い。
少しでいいから、僕を見て?」

『っ……やだ……』

「どうして?」

『知らないっ』



あー、もう……
私、本当に子供っぽくて嫌になる……

毎日の光景なのに、いちいち
あの女子達に嫉妬して……
こうしてすぐ拗ねて……
泣きたくなるよ……



「……桜月……」

『……っ、ん……っ』



不意に、真剣な声音で名前を呼ばれ、
条件反射で少しだけ振り向いた瞬間……

くちゅり、唇を奪われた。



光忠さんの熱い舌が入って来て、
私の舌を絡め取り、熱くて
色っぽい吐息を漏らしながら、
私の口内を深く犯す。



『んん……は、ぁ……ふ』



ああ、ダメだ……
すごい気持ちいい……
キス、上手すぎるんだよぉ……



「……は……僕の想い、解ってくれた?」


私は、返事を返す代わりに
潤んだ瞳と蕩けた表情を見せる。

それを見て、光忠さんはまた、
私を可愛いと言い、額にキスを落とした。






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