夢想乱舞


□▼ 妖ノ花 −アヤカシノハナ−
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「ああ、加州。探したよ」

「なんだ、にっかりさんか。
ねえ、桜月どこ行ったか知らない?」



桜月を寝かし付け、
自室を出たにっかりは
加州の元に桜月を返す為、
本丸内を捜索した。

暫く廊下を歩いていると、
縁側に座る加州を見付け、声を掛ける。
一瞬、嬉しそうに振り向いたが、
声の主が桜月ではないと解り、
深い溜め息を吐いた加州が、
にっかりに主の居場所を訊ねた。



「主なら、僕の部屋で寝ているよ」

「何それ、自慢?」


加州が明らかに不機嫌な顔で、
にっかりに抱かれた
桜月に嫉妬する。
にっかりは、そんなぶすくれる加州を
軽くスルーして、彼の肩をぽんと叩く。



「主が君を呼んでいたよ。
僕の部屋に居るから行ってあげるといい」

「……ん、ありがと」



ムスッとした顔を少しだけ和らげ、
加州は素直に礼を言って
大好きな主の元へと足早に向かった。





眠りから覚めた桜月が、
恐る恐る加州に訊ねてみたところ。


あの謎の蔵の中には、
桜月がここへ来るまでに
この本丸で、権力と暴力を振るい
男士達を粗末に扱っていた、
所謂「ブラック審神者」の
前任者達の死体が、無造作に
放置されているらしい……



何かが起きてからでは困る為、
翌日の朝、桜月は
自身の妖力と霊力から作り出した
炎を蔵に放ち、火葬した。


安らかに眠れ、とは言わない。

ただ、この本丸の主はもう、
私なのだから……

私の愛する刀剣男士達が、
もう苦しい記憶や嫌な感情に
心を占拠されないように。

邪魔だから、消した。

ただ、それだけ………







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