短編

□バレンタインのその後
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里香side


今日は顧問が会議でいないから私らだけで練習。


『さ、練習始めよー』


キャプテンの葵を中心に練習していく。
ランニング、基礎練習、シューティング。


休憩を挟んで試合をすることに。


「まだ葵には負けないからな」



『もうだいぶ鈍ってるでしょ?』



「はぁ?言うようになったな」



『へへ。私も負けませんよ』



こうして試合が始まったわけやけど
葵はエースだから葵以外は後輩が中心のチーム。


優子先輩は元エースやけどブランクあるってことで、公式試合の時のスタメン中心のチーム。里香も優子先輩チーム。


優子先輩が独断で決めた。


優子先輩曰く、
ちょっと力が劣るメンバーを葵がどれだけ活かせるか、どれだけ信用できるかを試すらしい。


「自分が勝つためじゃないよ?葵のためだよ」


って。


で、試合はと言うとやっぱり私らのチームが結構な差で勝ってる。それでも葵はなんとか後輩にパス出してシュートを打たせてる。
ただ、そのシュートの確率は低いけど。


優子先輩はニコニコ楽しそうにやってるけど葵は笑顔もなく黙々としてるのが気がかりやな。
声も出てない。


「葵、負けてるぞー」


『見れば分かります』


「お?機嫌悪いな〜」


『・・・・・・』


「ははっ。バレンタインなのに負けっぱなしか」


ヤバい。葵の目つきがヤバいな。
優子先輩、あんまり煽らんといてほしい。


『これからですよっ!!』


「どーだか」



この会話のあと、葵は変わった。


スリーポイントシュート、ドリブルしてシュート、リバウンド、まさに一人で点を取り始めた。


たまにパスを出せばさっきまでと違ってとても取れるようなパスじゃない。


点差は縮まってもチームの空気は最悪や。
優子先輩にも笑顔が消えた。


「葵?」


『はぁ・・・はぁ・・・負けません』


「全然周り見えてないぞ」


『はぁ・・・はぁっ・・・見てますよ』


「一人でやるなよ!」


『チームでやってますよ!・・・はぁっ』


こんだけ一人でやってたら体力持たへんわな。


『残り5分。絶対逆転しますから』


もう私らチームもパスはせぇへんやろ、と葵にディフェンスを集中させてるから葵は更に追い込まれてボールを取られてシュートも決められる。


『くそっ』とか『あー、もうっ』とか言いながらもまだ一人でなんとかしようとしてる。


後輩たちも


「こんな葵先輩見たことない」とか
「今日の葵先輩、怖い」とか言うてる。


そんな中、もう体力も限界やろってくらいヘロヘロなのにドリブルしてかなり強引にゴールに向かって突っ込んでシュートに飛んで着地したと思った次の瞬間、葵は倒れこんでた。
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