短編
□メリークリスマス
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テレビを着けると彩がAKBとして出てた。
歌番組のクリスマススペシャルだからコスプレしたりして数曲歌ってる。
やっぱり彩が一番歌うまいし、なんたってかわいい。サンタ帽があんなにかわいい人います?
NMBから唯一選ばれてるせいか、いつもより気合いが入ってる気がする。
あたしはと言えば今日の仕事は無く家のテレビでそんな彩を見てるわけで。彩とは同期で、恋人同士。なのにこの差はなんだ?
こんな自分が彩と付き合ってていいのかな。さやみるきー、さやもも、さやなな、さやゆーり。みんな人気者だ。自分が釣り合うわけがない。
あぁ、ダメだ。1人でいるとどんどんネガティブになっちゃう。外行こ。きれいなイルミネーションでも見に行こう。そして帰りにケーキでも買ってこよう。
やっぱりきれいだな。ここのイルミネーションなら有名だし、普通に歩道だからカップルじゃなくても浮かない。
なかなかうまく撮れなくて何度も写真を撮ってると
「お姉さん1人なの?」
と男の人2人に声をかけられる。
『・・・1人じゃないです』
「え?どう見ても1人だよね」
『違います』
「まぁいいや。一緒にケーキ食べに行こ」
『いや、行きませんて』
「いいからいいから」
両側からガッチリ掴まれてかなりヤバい状況。
そんな時、
「ちょっと、お兄さん。それ誘拐ですよ」
「は?」
「警察に電話していいですか?」とその人はスマホを取り出す。
「ちっ」
2人組はツバを吐いて去って行った。
めっちゃ感じ悪いな。
さて。マスクに眼鏡をかけてるけど明らかに
『彩ぁ・・・』
「ったく!こんなとこで何してんねん!!何されてんねん」
いきなり怒られた。
『あー、いや。あ、イルミネーション見たいなって思って』
「・・・・・」
無言でじっとり見られた。
『え?』
「もう、家に帰ろか」
『え、あ、うん。あ、ケーキ買って帰りたい』