短編

□ストーカー
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またや。
またつけられてる。


駅から家までの帰り道。
途中のコンビニまでこの道は電灯が少なく暗い。人通りもそんなに多くはないからちょっと早足で通りすぎるようにしてるんやけど。


ここんとこ金曜日だけは残業になってしまって終電で帰ってくるんやけど、先週も先々週もどうも駅から後をつけられてる。・・・気がする。


先週はコンビニに立ち寄って立ち読みするフリして通りすぎる人を見ようとしたけど誰も通らなかった。外に出てみたけど誰もおらんくて。



今日はちょっと怖いけど、コンビニのちょっと手前にある、あの自販機でジュースを買って通りすぎるか確認しよう。ただ帰る方向が同じだけかもしれへんし。


チャリンチャリン


ゆっくりコインを入れて後ろの人を伺う。



えっ。


通りすぎるどころか手前の電柱に隠れてこっちを見てる。・・・気がする。
思いきってそっちを見てみると電柱にサッと完全に隠れた。
黒いフードを被ってるっぽい。


どうしよ。めっちゃ怖い。
このまま家に帰って大丈夫やろか?


あ、そうや!



コンビニまで走る。


「ありがとうございました〜。おばあちゃん気をつけて帰ってね〜」


「はぁ。はぁ。・・大島さん。助けて!」


「え?山本さんどうした!?」


「ストーカー・・・」


「なに!?今いるの?」


「はい。黒いフード被ってる人」


コンビニの店長の娘さんの大島さん。
先週、事情を説明したら来週もいるからまたつけられたら走って来いって言われてて。


大島さんは自販機の方へ走って行って


「ちょっと、あんたっ!!」


って怒鳴った。
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