短編

□理由
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「葵さん、新曲のフリうまくいかないんで教えてください」


「葵さ〜ん、昨日はごちそうさまでした」


「葵〜、映画いつ行く?」


「あ、葵ちゃん、こないだのあれ、ありがとね」


「葵さん、今日もいい匂い〜」


同期、後輩関係なく次々に話しかけられてるのは神楽葵。


あたしと同期やし同い年なのにどうも年下にしか見えない。


いつも棒付きキャンディ食べてるせいもあるんかな。
香水も甘い系の匂いやし。


そんな子どもっぽい見た目やけどしっかりしてるから分からない事があるととりあえず葵に聞いとこ!みたいなところがある。


葵も嫌じゃないらしく楽しそう。
不機嫌な顔見たことないなぁ。



やっと皆から開放された葵がポーチを持って楽屋を出ていったからトイレにでも行ったんやと思ってた。


なかなか戻ってこないから迎えに行こうと楽屋を出てトイレに向かっていたら横の扉が開いて出てきた葵とぶつかった。


『おっと!わぁっ!ごめんっ彩!
けがしてない?』


「あぁ、びっくりしたけど大丈・・・夫」


トレードマークの棒付きキャンディを咥えながらあたしの肩や腰をペタペタ触りながらけがしてないか確認中の葵。


そんな事よりも聞きたいことが。


ぶつかった拍子に葵の手から落ちたポーチからライターが出ていた。


「葵、これは?」


『ん?・・・っ!!あ、えーと・・・・・』


「まさか・・・」


『あ、ちょっ!』


勝手にポーチを開けるとやっぱり。


「葵、たばこ・・・吸ってたっけ?」


『いや・・・吸って・・・ないかな?』


「そんなわけないよな。この状況で」


『・・・・・』


それでいつも香水の匂いを漂わせて棒付きキャンディ舐めてたんかな


「・・・ちょっと話そうや」


葵の腕を強引に引っ張って適当な空き部屋へ。


「いつから吸ってんの?」


『・・・・・』


「なんで?」


『・・・・・はぁ・・』


「葵?」


『・・・別に、はたち過ぎてるし吸っても問題ないじゃん』


「それはそうやけど・・・・」


棒付きキャンディの棒をゴミ箱に捨てながら


『あ!あれか。やっぱりグループとしてのイメージか。バレたらキャプテンである彩の責任になるかもしれ・・・・っ痛いな!』


葵の両肩を掴んで壁に押し付けた


「イメージとか責任なんて関係ない!そんなんどうでもいい!ただ、今まで真面目にやってきた葵がたばこを吸い始めたなら何かあったんかなって心配するやろ!」
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