ぼくがぼくになった日

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「嶺二くん」
「嶺二」







「さようなら」





「待って!ぼくも行く!」







ぼくの気持ちと同じく真っ暗な海。
何も見えない。

アイドルとして活躍すればするほど心は囚われていく。
光が強くなるほど影が濃くなるように、ぼくは黒く汚れていく。

水中で体をこすってもその黒は消えていってはくれない。



苦しい。


呼吸ができない。



助けて。











目を覚ますと30分も眠れていなかったらしい。

いてもたってもいられなくなり、車のエンジンを回した。

海へ。きっといつも夢で見るあの海は存在するはずなんだ。
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