【女の子編】☆義理姉妹遊戯☆
□☆義理姉妹遊戯☆其ノ一☆
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☆義理姉妹遊戯☆
其ノ一
「娃柳ちゃーん♡遊び来たでー☆」
「愛瞳お義姉サン、いらっしゃいませ♡」
幻狼の実姉の愛瞳とは、
週一で、娃柳の家でお茶をし合う仲。
「俊宇たちは?」
「双子たち連れて、丘に、馬の練習に行ってますわ」
「ハァ!?またぁ!?アイツ、ウチが来る時、
いっつも、家、いいひんなっ。
ホンマ、存在してるん!?」
「ええ、まあ、オホホホホ…。
で、でも、本当に、子供たちの面倒は良く見てくれていて、
ホント、助かってますわ」
はい、どうぞ、と、お茶と、
愛瞳が手土産に持ってきたお菓子を、差し出す。
おおきに、と、愛瞳。
お茶とお菓子が、二人分。
黒曜石の机の上に、華やかに、並ぶ。
「ほーん。変われば、変わるもんやな!
あんな、顔の怖い男が子供好きとは、
姉ながら、よう知らんかったわ!
昔は、ワルでアホンダラで、どーしょーもナイ、
不良息子やったのに」
お茶に、一口、口を付け、しみじみと、言う、愛瞳。
「まあ、どーしょーもナイ弟のことなんてどーでもええわ♡
今日はな、ウチ、娃柳チャンにプレゼント持ってきたんよ♡
いっつも、たっかい、
絹の服やら、天鵞絨の羽織やら、緞子の帯やら、
もろてるお礼に☆
じゃじゃーんっ☆」
効果音付きで、服の袂から、
三つ折りの、赤い紙包みを、取り出した愛瞳。
「まー♡いいのに♡お気遣い、頂かなくてもぉ♡
で、なんですのぉ?それ」
遠慮の言葉を口にしつつ、身を乗り出す、娃柳。
「コレはな─────中国四千の秘薬やねん♡」
愛瞳の、やはり、姉弟なんだと思わせる瞳の奥が、キラリ、と光る。
「………」
「今、都の女の子タチの間で、超流行ってるンよ♡」
「………」
「おもしろそーやろ♡
ん?どないしたん?
こないシチュエーション、前にもどっかで、経験済み、
みたいな顔して」
「い、いいえ〜♡ ちょっと、白昼の悪夢を少々、オホホホ……」
言葉を、お茶を一口すすり、濁す。
「コレはな、『マンネリ』を解消する、薬やねん♡」
「はぁ」
「あー!ピンときてへンやろっ!!?」
「え、いえ、そうゆーワケじゃ…」
ピンとこない娃柳に不満げに、
愛瞳が頬を紅潮させ、言う。
「コレはなっ、自分自身でもまだ気づいてナイ、
隠されたセイヘキを、暴く薬やねんっ♡」
三度目の、「コレはな」を、強調させて言った、愛瞳。
「へー!」
さっきより、身を乗り出す。
「おっ♡食いついた?」
嬉しそうに、身を乗り出し返す。
「ま、別にぃ、ウチんとこもぉ、
その、マンネリ?ゆうんと、ちゃうけど、
その、なんや、チョット、違う刺激があってもぉ、
まあ、たまには、こんなンもぉ、ええんと違うん?みたいな?
ごにょごにょ………
まー、わかるやろっ!?」
やや強引に、共感に持っていく愛瞳。
「わかりますわっ」
こくこく、と、力強く頷く娃柳。
「せやろっ♡
娃柳チャンなら、わかってくれると信じてたわーっ♡」
嬉しそうに、義理の妹のことを見る。
「─────で、お義姉様、このお薬の、副作用は?」
ごくり、と、息をのむ娃柳。
「副作用はな─────」
ごくり、と、息をのむ愛瞳。
「聞くの、忘れてもうたっ☆」
「ンもぉ!オネーサマッ!
副作用を訊くのは、アヤシイ薬に手を出す時の、
基本中の基本ですわっ!」
「じゃ、じゃあ、娃柳チャン、いらんの?」
「要りますわ」
「いるんかーーーい☆」
愛瞳が、ツッコむ。
「まー、都の女の子タチの間で超流行ってるくらいやしっ、
まあ、たかが薬一錠で、死ぬこと、ないやろっ☆アハハハハッ」
愛瞳は、娃柳に、赤い紙包みを、一包、手渡した。
(お義姉様の、そーゆうザツで大味で大雑把なトコ、好き♡)
「ただし─────」
愛瞳の、その言葉に、
娃柳は、ぎくり、と、その美しい眉を曲げる。
「─────ただしぃ?」
眉間にしわを寄せて、愛瞳のことを見る。
「この薬はな、その隠されたセイヘキが満たされるまで、
効力が消えることは、ない。
つまり、隠されたセイヘキは隠されたままって、ことや」
「はぁ」
「で、満たされてしまえば、もう一生、
そのセイヘキが現れることは、ない」
「へー!」
タレ目がちの大きな目を見開き、ぱちくりと、させた娃柳。
(開くかどうかもわからない、パンドラの箱、ってトコね)
「じゃ、来週、また、この時間、この場所で(娃柳ンち)、
薬のコウカの、報告会やからなっ☆」
「ハイ、お義姉様」
娃柳は、愛瞳から、手渡された、赤い紙包みを、
まじまじと、見つめた。
(アタシの、隠されたセイヘキって、なに?)
続